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2016年09月19日

高濃度ビタミンC点滴療法が体内のがん細胞をやっつける?その効果と化学的見地

高濃度ビタミンC点滴療法はがんに効果があるのか

20年以上も前から、ビタミンCを摂取するとがんになりにくい「がん予防」の効果があるとして、サプリメントや健康食品ブームに相乗りするような形でタブレットや粉末状になった商品が次々と販売され続けています。

もちろん科学的な根拠は乏しく、経口投与しても効果は無いと専門家や有識者の中では一種のプラシーボ(効果があると信じ込むことで何らかの改善がみられること)のようなものという扱いになっていました。

それがある日、高濃度のビタミンCを点滴で投与することで、肌にハリやツヤを与え、シミを消し、美白効果、若返り、デトックス、アンチエイジング、さらには体内のがん細胞を死滅させるといった、まるで魔法のような効果があると謳われ美容整形外科や特定のクリニックで自由診療として取り扱われるようになりました。

「がん細胞を殺す」という触れ込みの高濃度ビタミンC点滴療法。

未承認のため治療費は全て実費となり、患者様が支払う治療費は年間100万円をゆうに超えます。それでも、末期がんの患者様や再発におびえる患者様を中心に人気が高いのも事実です。

本当に高濃度ビタミンC点滴療法はがんに対して効果があるのでしょうか?

高濃度ビタミンC療法について化学的な観点からまとめてみましたので、ぜひ治療を受けられる前の参考にして下さい。

高濃度ビタミンC点滴療法とは

「ビタミンC」とは栄養素としての一般的な呼び名であって、化学名を「アスコルビン酸」といいます。

これを一度に12.5gから100gほど点滴して、血中濃度を3.5~4.0mg/mlまで上げてがん細胞を叩くというのが、高濃度ビタミンC点滴療法で一般的に行われる治療法です。

ビタミンCは人体が作り出すことが出来ない物質なので体内に蓄えておくことができず、水に溶ける性質があるのでどれだけ注入しても尿と一緒に排出されます。

なので、がん細胞に効くだけの濃度を保つには、2~3日おきの点滴が必要とされています。

経口(口から摂取する場合)だと、3~4g飲むだけで下痢を起こす人もいるのと、消化器官を通過する間にどんどん酸化し、小腸においても吸収する能力に限界があるので、点滴による投与は理に適っていると言えそうです。

ビタミンCはがん細胞に効くのか効かないのか

2005年9月20日付けの「PNAS(アメリカ科学アカデミー紀要)」誌に載った論文が、この治療方法の根拠として存在しますが、試験管内での実験であったために、人体においても同じように効くかどうかは分かっていません。

ただし、効かないと断定することが出来ないのも事実です。

アメリカ国立がん研究所(NCI)は、ビタミンCの大量投与による副作用は少ないが、治癒力の向上やがん細胞の縮小効果、生存期間の延長効果等も実証されていない、と発表しています。

なぜ研究や試験を重ねて承認や認可をとらないのか

がん細胞の縮小や生存期間の延長について効果が実証されていないのであれば、研究や試験を重ねて「本当に効く」というデータを集めれば良いのではないかと思いますが、何故そうしないのでしょうか。

その理由として大きなポイントは「お金にならない」からです。

通常、医薬品や治療の認可というのは、もの凄い時間とお金をかけて何段階も治験をして基準を満たすデータを揃えて、やっと抗腫瘍効果の承認にこぎつけます。

そしてその薬や技術に対する特許を取り、それを販売することで利益を生み出します。

しかし、アスコルビン酸は製造のパテント(特許権)がすでに切れている古い薬で、単価も非常に安いのです。

いくら研究を重ねて治療データを集めたところで、それが利益に結び付くとは考えにくく、今後もお金をかけてこれを立証する機関などは出てこないのではないかと思います。

高濃度ビタミンC点滴療法の治療費について

1回の点滴費用がアスコルビン酸の量によって、1~3万円と言われています。

内訳は、アスコルビン酸と血管痛を防ぐためのマグネシウムなどの費用と、お医者様の手技料などを含みます。

自由診療ですので全額自己負担となり、週二回の通院でも月20万円を超えます。

この治療方法を取り仕切っているのが「MR21 点滴療法研究会」という団体で、価格などはクリニックごとに決めるものではなく、ある程度は統一されているとのことです。

公的な組織ではないですが、認定医なども独自に定めて、普及活動を行っているようです。

高濃度ビタミンC点滴療法を受ける際の注意点

効くかどうかは分かりません。少なくとも体に直接的な害はなさそうな治療法ではあると思います。

試験管内の実験結果とはいえ、普通の細胞に比べてがん細胞がアスコルビン酸に弱いという研究があるので、それなりの効果がある可能性もあります。

しかし、試験管の中と本物の血管では赤血球や白血球、糖質やタンパク質、各種ホルモンといった環境が大きく異なるので、ヒトを対象とした実験が行われていないことに疑問が残ります。

高濃度ビタミンC点滴療法を行っているHPなどを見ると、ビタミンCは血管内ではカタラーゼにより水と酸素になりますが、血管の外に出ると過酸化水素のままでいられると記述があります。

そして過酸化水素は正常細胞ではカタラーゼによって中和されますが、がん細胞にはカタラーゼがないので、中和されないとか。なので、がん細胞のみに働きかけるとのことです。

この記述を信じるとビタミンCを点滴で血管に投与した時点で水と酸素に分解され、がん細胞にまでは届かないはずです。

もし中和されるよりも多くのビタミンCを体内に点滴するとなると、正常細胞にも影響を与えることになりますし、ビタミンを分解する腎臓に多大な負担が掛かってしまうことが予想されます。

ビタミンCの接種で過剰だと言われる量は1000mg(1グラム)、2000mg(2グラム)などいろいろな説がありますが、高濃度ビタミンC点滴療法はその50倍から100倍の量を直接血管内に導入する治療法です。

長期的にビタミンCを服用する場合は、特に腎機能に異常が出ていないか常にチェックする必要があると思われます。もしも高濃度ビタミンC点滴療法を受けようと考えられているのなら過剰摂取してしまい副作用を起こさないよう注意して下さい。



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